デザイナーメッセージ

想いを再現し、エアー遊具に新しい価値を

エールのエアー遊具のデザイン・設計担当の井戸隆一氏は、キャラクターの再現性と遊具としての安全性に、とことんこだわった根っからの仕事人。
空気の膜が描きだす曲面の美しさを追及しつつ、実物の“らしさ”をデフォルメし、子どもたちのワクワクを刺激!そのための製作過程すべてに、こだわりを持っています。
ここではエアー遊具に対するアツい想いを伺いました。

今のお仕事を教えてください

お客様から依頼を受けた案件の企画提案からデザイン、設計に落とし込み、最終的な裁断図の作成までを担当しています。キャラクターや実物からデザインをおこす場合は2次元の図面の3D解析し、3D-CADで設計をデザインします。メインとなるのは提案部分です。例えば、お客様がゆるキャラをお持ちで、「こんなことをしたい」というイメージはあっても、具体的に子ども達に楽しんでもらうにはどうすればいいのか分からない。そんな時にはお客様のニーズや予算をもとに、最適なエアー遊具をご提案します。
本来のデザインが存在する場合は、実際のキャラクター像と、私たちが生み出す「エアー遊具」のイメージとがいかにシンクロできるかが問われます。エアー遊具はどうしても丸いRの部分が多くなりますので、もとのイメージを残しつつ、いかに遊具として成り立つカタチにデフォルメできるか。説明をしながら、いろいろな絵を描いて、お客様とイメージを共有しながら、理解・納得していただきます。

エールさんは再現性の高さが業界内でも評判です

ありがたいことにお取引先様からもお墨付きをいただいております。お客様と何度も打ち合わせを重ね、話のなかだけではつかみにくい部分をどんどん具体化していきます。エアー遊具でできること、できないこと、何をどのようにデザインに落とし込むか。使うのは子どもたちなので、遊ぶ姿、楽しむ姿の想像をふくらませてもらって、これならば、と納得していただくのが一番です。すでにあるものを購入いただくのではなく、全ての製品を受注後に一品一品製作するオーダーメイドの形式をとっているからこそ、お客様の満足度も違ってくるのだと思います。

製作するうえで心がけていることは?

商品化するなかでデフォルメしながらカタチにしていくとき、“らしさ”を残しておくことです。何となく、それ風に見えるけど…ではなく、子どもたちの頭の中ではそのものズバリでなければいけないと思っています。子どもが見た時にそれとすぐわかって、認めてもらえるもの。第一印象が違うと、子どもたちの反応は明らかに変わります。テンションがまず上がらない。正直な目で見て、すぐに駆け寄っていきたくなるような「そのまんまだ!」という感動。それがあるかどうか。大人でもそうです。思わず、写真に撮りたくなるような、そのまんまとか、楽しそうとか、かわいいとか。そういう反応があるのがいいデザイン、商品として求められるデザインだと思います。
子ども達が思わず夢中になるカタチですね。製作工程はひとつ一つ、異なります。キャラクターのときはデザイン性を再現するために、製造工程を細かくすることもありますが、大事なのはお客様のニーズのなかで核となることをきちんと組みあげること。それが表現できると、お客様にとって想像していた以上のものが出来上がります。ポイントや重点的な部分を見極めることが大事。ディテールを細かく表現することとはまた違う。本質として持っているかわいさやかっこよさとか、このなかで遊んだら楽しいだろうなというワクワク感、その部分をカタチで表現することを大事にして、弊社では実現が出来ていると思います。

遊具の規準に合わせて対象をデフォルメ。 キャラクターのかわいらしさを大事にしながらエアー遊具に設計していく

一から創るものなので、アイデアや提案力が勝負のカギになりますね

はい、それがこの仕事の楽しさ、醍醐味であり、怖さでもあります。アイデアや提案力は弊社の強みでもあり、「エールさんの企画したものはかわいい、かっこいい、楽しいよね」ということでお客様がついてきてくださっていると自負しています。

他の製作スタッフさんとのやりとりはどのようにしていますか?

全スタッフが使う人の目線に立って「喜んでいただけるものをお届けする」という同じ想いを持ちながら、仕事と携わっています。大量生産のモノづくりではなく、一点モノのオーダーメイドなので、今回の商品では何を優先すべきか、各々の立場で考えて実行します。「ここは角度をしっかり出してね」とか、「この模様は細かいけど、正確に縫い合わせてね」とか細かくコミュニケーションをとって進めていきます。単に流れ作業でやっているだけだと、大事なところを実現できませんし、お互いに想いを組みとろうという気持ちがないと、難しいと思いますね。手間がかかったり、技術的にあえて難しいものを選択する場合もあります。
いつも最高の出来をめざすために、フレキシブルに対応する体制ができていると思います。設計だけ、現場だけが頑張ってもだめです。設計や裁断、縫製など、パーツパーツがしっかりと役目を果たしているからこそ、最終的に組みあわさったときに、最高のモノになっているのだと感じています。

最後にこれからのエアー遊具に対する期待を教えてください

お客様、子どもたちの想いを再現し、エアー遊具に新しい価値を吹き込むことが私たちの使命であると思います。エアー遊具がもつ「魅力」と「力」。それは私たちの日常生活をとても豊かにしてくれます。これからも子どもたちを笑顔にするエアー遊具をたくさん創造することで、子どものころからできるだけ「楽しい」「かわいい」「かっこいい」にふれる機会が今後もたくさん増えてくれることを願っています。